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鏑矢 まつ井の様々な情報を発信します

ベジタリアンについて

日本で一般的なレストランに行った際、ベジタリアンやビーガンの方は、何を食べるべきか迷われたことはありませんか?特に日本料理は、だしにかつお節が使われることが多く、ベジタリアンやビーガンに対応したメニューは少ないのが現状です。

一方、世界ではインド(28%)、台湾(14%)、ドイツ、イギリス、アメリカなどで約10%の人々がベジタリアン・ビーガンとして生活しています。これらの国では宗教や健康志向、環境問題が大きな要因となっています。日本においても、2023年の調査で5.9%の人がベジタリアンまたはビーガンであるとされ、徐々に関心が高まっていますが、依然として少数派です。

実は日本には、約1,200年間にわたり肉食が事実上禁止されていた歴史があります。古代日本では「穢れ」や「清め」の概念があり、動物を食べることは不浄とされていました。675年に天武天皇が牛や馬などの食用を禁じる勅令を発布し、これが長く続きました。一般市民は、野菜や玄米を中心とした食生活を送り、魚が主要なタンパク源となっていました。

この間、仏教の影響を受けて発展したのが「精進料理」です。動物性食品を一切使用せず、豆腐や野菜、穀物を使い、五味五法を駆使して素材の味を生かす料理です。もともと寺院で僧侶のために作られていましたが、江戸時代には文人や芸術家にも親しまれ、一般市民の食文化にも浸透しました。

江戸時代中期、徳川綱吉の「生類憐みの令」により、一時的に動物の殺傷や肉食が厳しく禁じられましたが、この政策は後に撤廃されました。本格的に肉食文化が広まったのは明治時代以降で、特に海沿いの地域では魚が主なタンパク源として残っていました。日本人の肉の消費が増加し始めたのは1960年代からで、それ以前は多くの人が野菜中心の食生活を続けていました。

しかし、現代では洋食中心の食生活が進み、脂肪やエネルギーの過剰摂取が問題となっています。野菜摂取の減少による生活習慣病の増加や、女性の乳がんリスクへの懸念も高まっています。そのため、健康面でも日本人は古くから大切にしてきた穀物中心の食生活に回帰すべきだという意識が広がりつつあります。

当店の店主は、32年の海外勤務で多くのベジタリアン・ビーガンのお客様にお料理を提供してまいりました。肉や魚、だしに使う魚の節を使わず、いかにして日本料理の繊細な味わいを再現するかを追求し、多彩な料理をお客様に楽しんでいただけることに大きなやりがいを感じております。この経験は、日々の料理にも多くのアイデアをもたらしました。

先日、開業後初めて「肉類とアルコールを一切使わない会席料理」のご要望をいただき、特別なメニューをご用意いたしました。アルコール不可の条件下では、調理酒や味醂といった基本調味料が使用できませんが、海外での経験が非常に役立ちました。また、ご同席の食材制限のないお客様にもご満足いただけたのが何よりの喜びです。

当店の強みは、ベジタリアンやビーガンのお客様はもちろん、グルテンフリーや宗教的な制約をお持ちのお客様にも対応できる点です。すべてのお料理は、通常のメニューと同様に、数日前から丁寧に手作りいたします。リクエストがございましたら、できるだけ早めに、少なくとも2日前までにご連絡いただければ幸いです。

美味しく、美しい日本料理を、安心して心ゆくまでお楽しみいただけるよう、全力でお手伝いさせていただきます。

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